マーケティングリサーチにはさまざまな手法があり、目的や活用シーンに合わせて使い分けることが大切です。ここでは、定性調査について、特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
定性調査とは、行動の理由、感情、価値観など、「はい・いいえ」で表せない、数値化できない情報を収集するための調査手法です。「商品を購入した心理的な背景」「人の性格」「広告を見た時の感想」「サービスを利用した時の気持ち」「どんな時・どのように商品を使うか」といった対象者の内面や行動原理を詳しく知ることができます。
定性調査はさまざまな目的で行われますが、主に「新たなニーズ・商品アイデアの発見」「商品・サービスの改善点発見」「仮説の構築」などのために実施されることが多いようです。
定性調査のメリットは、質問の仕方によって対象者の本音を引き出せることです。「なぜそう思ったのか」理由を聞き出すことで、課題解決に活かすことができます。
対象者の言動などから新たなニーズを発見できる点も、大きなメリット。本当に求めている機能やサービス、企業側が気づかない商品の強み、弱みなどを発見し、それをもとに新しいアイディアを創出できれば、企業の可能性を広げることができるでしょう。
一方で、サンプル数が少なく主観が強く影響している点はデメリットです。調査者の解釈によって分析結果が大きく変化するため、調査者にも能力や知識が求められます。
定性調査にはさまざまな手法があります。ここでは、定性調査の代表的な手法を3つご紹介します。
マーケティングの現場で度々使われる「インサイト」。インサイトとは、対象者の行動の原因となる核心やツボのことです。「潜在ニーズ」と似ていますが、インサイトは、潜在ニーズよりさらに深層にあるため、なかなか簡単に引き出すことはできません。
インサイト調査で重視されるのは、アンケートやインタビューなどの調査そのものより、その結果をさまざまな角度から深く考察することです。これにより、時には消費者自身も意識していなかった心の核心部分を見抜くことができます。ただし、考察は繰り返し検証を行い、精度を高めることが大切です。
用意した選択肢を選ぶような形式ではなく、テキストボックスを使った、回答形式を問わないアンケート調査なら、回答者の独自の答えを引き出すことができます。大人数に簡単に実施できるため、結果の信頼性を高めることができるでしょう。
インタビュアーと対象者が1対1で行う、インタビュー形式の手法です。対象者の回答を、インタビュアーが掘り下げます。他者に影響されることなく、対象者の本音を聞き出せる点はメリットですが、その分時間がかかります。
対象者の自宅に調査員が赴き、どんな環境で商品が使用されているか、リアルな使用状況を調査する方法です。普段の生活を実際に見ることで、ユーザー自身も気づいていない情報を発見することができます。
定性調査を行うことで、対象者の感情や価値観などを知ることができます。定性調査をうまく活用すれば、課題可決の手法や新たな商品アイディアなどを立案できるでしょう。定性調査にはさまざまな手法があるので、調査目的に合わせて選択したり組み合わせたりしてみてください。
次のページでは、定性調査に強い大手マーケティングリサーチ会社を取り上げています。定性調査に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。